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【脳神経外科医が解説】重度片頭痛と認知症リスクの関係。最新治療が脳を守るその理由とは?

「いつもの片頭痛だから」と痛みを我慢していませんか? 近年の医学研究により、重度の片頭痛(特に前兆を伴うものや頻度の高いもの)を放置することは、将来の認知症発症リスクを高める可能性があることが明らかになってきました。

本記事では、最新の文献的考察に基づき、片頭痛が脳に与える影響とそのメカニズム、そして認知症リスクを軽減するための最新治療について解説します。


1. 疫学データ:片頭痛患者の認知症リスクは「約3倍」

カナダで行われた20年間にわたる大規模な前方視的コホート研究(Mortonら, 2019)では、片頭痛と認知症の間に深刻な相関関係があることが示されました。

  • 全般的な認知症リスク: 非片頭痛群に比べ、約2.97倍

  • アルツハイマー型認知症: 非片頭痛群に比べ、約4.22倍

特に、寝込んでしまうほど重度の発作を繰り返す方や、40代・50代で発作頻度が増加している方は注意が必要です。


2. なぜ片頭痛が認知症を招くのか?3つの生理学的メカニズム

片頭痛は単なる「痛み」の疾患ではなく、脳内で以下のような生理学的ダメージを蓄積させることが分かっています。

① 脳の掃除機能「グリリンパ系」の停滞

脳には、睡眠中にアミロイドβなどの老廃物を洗い流す「グリリンパ系」という仕組みがあります。片頭痛発作による激しい血管の収縮・拡張は、この循環を阻害し、脳内に「ゴミ」を蓄積させやすくします。これがアルツハイマー病の引き金になると考えられています。

② CSD(大脳皮質拡延性沈下)による神経細胞への負荷

片頭痛の前兆(視界に光が走る等)の正体であるCSDは、脳神経の過剰な興奮とその後の抑制を引き起こします。この際、神経細胞は一時的なエネルギー欠乏と酸化ストレスに晒され、記憶を司る「海馬」などの萎縮を進行させるリスクがあります。

③ 微小血管障害(白質高信号)の蓄積

MRI検査で見られる「白い影(白質高信号)」は、発作時の血管収縮による微小な虚血の痕跡です。これが蓄積すると、脳のネットワークが分断され、情報処理スピードの低下や血管性認知症のリスクを高めます。


3. 治療が認知症リスクを「約50%」軽減

「治療をすることで将来の認知症を防げるのか?」

最新の研究(Huangら, 2023 / Luoら, 2022)では片頭痛治療を行うことによる認知症予防効果が証明されています。

  • 治療介入によるリスク低下: 適切な医学的治療(予防療法)を受けている群は、未治療群に比べ認知症の発症リスクが有意に低下。

  • 特定の介入による効果: 適切な管理下での治療により、認知症のハザード比が**0.51(約49%のリスク減)**まで改善したという報告もあります。


4. 最新の予防薬「抗CGRP抗体製剤」の役割

現在、片頭痛治療の柱となっている抗CGRP抗体製剤(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)は、認知症予防の観点からも極めて重要です。

  • 炎症の根本遮断: 痛みの原因物質CGRPを直接ブロックし、脳内の慢性炎症を鎮静化します。

  • 脳環境の正常化: 血管の過度な変動を抑え、脳の掃除機能(グリリンパ系)を正常に保ちます。

  • 高い安全性: 脳関門を通過しにくいため、従来の予防薬で懸念された認知機能への副作用がほとんどありません。


5. 橿原脳神経外科クリニックでのアプローチ

奈良県橿原市の当院では、脳神経外科専門医が最新設備(MRI・CT)を用いて、「将来の脳を守る」ための診断・治療を行っています。

  1. 精密診断: MRIで「白質高信号(脳の傷跡)」の有無を確認し、現在の脳の負担を可視化します。

  2. オーダーメイド治療: 生活スタイルに合わせ、内服薬や抗CGRP抗体製剤を含む最新の予防療法を提案します。

  3. 利便性の追求: 土日祝日も診療、イオンモール橿原内という立地で、通院や待ち時間の苦痛を軽減します。

片頭痛をコントロールすることは、20年後のあなたの大切な記憶と健康を守るために大事なことなのです。


参考文献

  • Morton, R. E., et al. (2019). "Migraine and the risk of all-cause dementia, Alzheimer's disease, and vascular dementia: A prospective cohort study." Int J Geriatr Psychiatry.

  • Huang, L. Y., et al. (2023). "Association between migraine and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis." The Journal of Headache and Pain.

  • Luo, et al. (2022). "Reduced dementia risk in patients with migraine receiving appropriate treatment." Neuropsychiatric Disease and Treatment.

  • Goadsby, P. J., et al. (2017). "Pathophysiology of Migraine: A Disorder of Sensory Processing." Physiological Reviews.