- しびれについて
- こんなしびれの症状は
ありませんか？ - 脳が原因のしびれ
- 脊椎・脊髄が原因のしびれ
- 末梢神経が原因のしびれ
- 内科的疾患が原因のしびれ
- しびれがある際に行う検査
- しびれに対する治療
- しびれが出たらお早めに
受診ください
しびれについて
しびれは、体の異常を知らせる重要なサインのひとつです。
原因はさまざまで、中枢神経や末梢神経の障害、血流の悪化、感覚異常、運動麻痺、心因性の要因などが考えられます。
当院の院長は日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医として、中枢神経や末梢神経の障害によるしびれの診療を行っています。
しびれの中には、脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの重大な疾患が隠れている場合もあります。これらの病気によるしびれでは、頭痛・めまい・言語障害・運動障害・意識障害・視覚障害などを伴うことが少なくありません。
一方で、日常生活の中で感じる手足のしびれや脱力感の多くは、長時間の正座や姿勢の影響による一時的なもので、自然に回復します。
しかし、原因が神経や脊髄、あるいは心因性のものである場合もあり、正確な原因の特定が非常に重要です。
当院では、MRIなどの画像検査をはじめとする丁寧な診察を行い、しびれや麻痺の原因を明らかにしたうえで、脳・脊髄・末梢神経の疾患に対する適切な治療を行います。
原因がわからないしびれでも、気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。
しびれは何科を受診するべき？
手足のしびれや痛みの原因にはさまざまなものがありますが、一般的には脊椎・脊髄の異常や整形外科的な疾患によるものが多くみられます。
これらが疑われる場合は、脊椎外科へのご相談をおすすめいたします。
一方で、しびれに加えてろれつが回らない、吐き気がある、物が二重に見える、片側の手足が動かしにくいといった症状を伴う場合は、脳卒中などの重篤な疾患の可能性があります。
その際は、ためらわずに救急車を呼ぶようにしてください。
当院を受診いただいた場合には、緊急性が高いと判断した際に連携病院と迅速に連携し、適切な対応へとお繋ぎいたします。
当院は脊椎外科にも
対応しております
当院では、脊椎外来も併設しております。
しびれの原因は脳や末梢神経だけでなく、脊椎（背骨）の異常によって起こることも少なくありません。
原因が分からずお困りの方も、まずはお気軽に当院へご相談ください。
こんなしびれの症状は
ありませんか？
このような症状がある場合に受診をお勧めします。
- 正座後のしびれが手足に継続する
- 感覚が鈍い部分がある
- 手足に力が入りにくい
- しびれがあり、脳や首の状態が懸念される
- 腰痛に加え、足にしびれがある
- 左右どちらか一方にのみしびれがあり、めまいや頭痛を伴う
- しびれとともに、ろれつが回らない
- 手の指が白くなり、しびれている
- 左右対称にしびれがある
脳が原因のしびれ
脳卒中（脳梗塞・脳出血）
脳梗塞や脳出血の初期症状として、左右どちらかの手足にしびれが生じることがあります。
しびれに加え、顔半分の麻痺や複視がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性が高いため、直ちに当院を受診してください。
これらの疾患では、後遺症として手足の麻痺やしびれが残る場合があります。
脊髄小脳変性症
脊髄小脳変性症は、脊髄や小脳の変性によって起こる病気の総称ですが、原因は不明です。
歩行時のふらつき、構音障害、手の震えといった症状に加え、末梢神経障害として手足のしびれや感覚鈍麻が現れることがあります。
脊椎・脊髄が原因のしびれ
頸椎変性症
首の脊椎である頸椎の脊柱管に異常があると、頸髄が圧迫されしびれを引き起こします。
頸椎変性症では、手のしびれに加え、後頚部から上背部の痛み、箸やボタンかけが困難になるなどの手の不器用さが特徴です。
腰部脊柱管狭窄症・腰部椎間板ヘルニア
腰の脊椎である腰椎の脊柱管に異常が起こると（例：腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど）、腰髄が圧迫され、足のしびれや痛みが生じます。
多くの場合、しびれとともに腰痛を伴うのが特徴です。
また、歩行中に足の痛みやしびれが強くなり、少し休むと再び歩けるようになる「間欠性跛行（かんけつせいはこう）」が見られることも少なくありません。
足の痛みは、主に太もも・ふくらはぎ・膝の外側に現れることが多いです。
ちなみに、変形性膝関節症による痛みは膝の内側に出るのに対し、脊柱管狭窄症による痛みは膝の外側に現れる傾向があり、鑑別の目安になります。
末梢神経が原因のしびれ
正中神経障害（手根管症候群）
正中神経は、手を握ったり指を動かしたりする際に重要な働きを担う神経です。
この神経が手首の手根管（しゅこんかん）と呼ばれるトンネル内で圧迫されることで、正中神経の支配領域にしびれが生じます。これが「手根管症候群」です。
主に親指・人差し指・中指・薬指の一部にしびれが現れ、特に朝の起床時に症状が強くなるのが特徴です。
調理師・美容師など、手首を頻繁に使う職業の方に多く見られ、また甲状腺機能低下症や糖尿病をお持ちの方に合併することもあります。
尺骨神経障害（肘部管症候群）
肘をぶつけたときに「ジーン」と指先までしびれた経験はありませんか？
それは尺骨神経が刺激されたために起こる症状です。
尺骨神経も手を動かすために欠かせない神経のひとつで、肘の内側にある肘部管というトンネルを通過しています。
この部分で神経が圧迫されると、薬指の一部と小指にしびれや感覚の低下が生じます。
手を酷使する仕事や長時間の肘の曲げ伸ばしが原因となることが多く、放置すると指の動きに支障をきたすこともあります。
内科的疾患が原因のしびれ
糖尿病性末梢神経障害
糖尿病によって血糖値が高い状態が長期間続くと、末梢神経の血流が悪化し、神経そのものが損傷を受けます。
その結果、足の先から徐々にしびれが広がるのが特徴で、両足・両手の先端に左右対称に出現します。
医師の間では、この分布を「グローブ・ストッキング型のしびれ」と呼びます。
しびれのほかにも、感覚が鈍くなったり、痛みを感じにくくなったりすることもあり、気づかないうちにケガや感染を起こすこともあります。糖尿病の管理を適切に行い、血糖コントロールを改善することが、しびれの進行を防ぐ最も重要な治療となります。
アルコール性末梢神経障害
アルコールを長期間多量に摂取すると、アルコールそのものの毒性や、ビタミンB1などの栄養不足によって神経が障害されます。そのため、手足の先端にしびれ・灼熱感・筋力低下がみられるようになります。
しびれは末梢から徐々に広がることが多く、特に足先の症状が目立ちます。
アルコール摂取量を減らし、ビタミンB群を補うことで改善が見られることもありますが、長期間続いた場合は完全な回復が難しいこともあります。飲酒習慣の見直しと栄養管理が重要です。
ビタミン欠乏症
（特にビタミンB群）
ビタミンB1、B6、B12は神経の働きを正常に保つために不可欠な栄養素です。
欠乏すると、神経伝達がうまくいかず、手足のしびれ・感覚鈍麻・倦怠感・集中力低下などが現れます。
偏った食事や過度なダイエット、胃腸疾患による吸収障害、またはアルコールの多飲などが原因で起こりやすいとされています。不足しているビタミンを食事やサプリメントで補うことで、症状の改善が期待できます。
ただし、原因となる栄養吸収の障害がある場合は、専門的な治療が必要です。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足すると、体全体の代謝が低下し、末梢神経への血流や代謝も悪くなるため、しびれやむくみ、冷えなどの症状が現れます。
特に手足のしびれや感覚低下、手指の動かしにくさを感じる方も少なくありません。
甲状腺機能低下症では、倦怠感や体重増加、乾燥肌、便秘など、全身にさまざまな症状が出るのが特徴です。
血液検査でホルモン値を調べることで診断が可能で、適切なホルモン補充療法により多くの症状が改善します。
腎機能障害
（尿毒症性末梢神経障害）
慢性腎不全などで腎臓の働きが低下すると、体内に老廃物がたまり、神経を刺激・障害してしまいます。
これにより、足の先端にビリビリしたしびれや痛み、感覚の鈍さが現れます。
しびれは足から始まり、進行すると手にも及ぶことがあります。
腎臓の病気が進行しているサインであるため、早めの内科受診が重要です。
原因となる腎疾患の治療を行い、透析や食事療法で老廃物を減らすことで、神経障害の進行を防ぐことができます。
膠原病・自己免疫疾患
SLE（全身性エリテマトーデス）やシェーグレン症候群、血管炎などの膠原病では、自己免疫反応によって神経や血管が攻撃されることがあります。
その結果、手足のしびれや痛み、感覚の異常が出ることがあります。
また、症状が末梢神経に限らず、筋肉痛や関節痛、倦怠感、発熱などを伴うこともあります。
血液検査で自己抗体を調べることで診断が可能で、免疫抑制剤やステロイドによる治療が行われます。
自己免疫疾患による神経障害は進行性のこともあるため、早期発見と適切な管理が非常に重要です。
しびれがある際に行う検査
神経学的診察
しびれが現れている部位を確認し、左右差やどの神経経路に一致しているかを観察します。
触覚・痛覚・温度感覚などの感覚検査を行い、どの感覚が低下しているかを調べます。
また、筋力検査で麻痺の有無を確認し、腱反射の異常（反射が弱い・強い）を評価することで、障害が中枢（脳・脊髄）か末梢（神経根・末梢神経）かを推定します。
必要に応じて、歩行検査やバランス検査も行い、しびれが運動機能に影響していないかを確認します。
レントゲン検査
しびれの原因が頸椎や腰椎にある可能性がある場合、骨の状態を確認するためレントゲン検査を行います。
しびれに対する治療
しびれの原因となっている疾患を特定したうえで、適切な治療を進めてまいります。
治療は、お薬による内科的治療を中心に行い、症状や原因によっては外科的手術が必要になることもあります。
手術が適応となる場合には、連携病院と速やかに連携し、専門的な治療へスムーズに繋げる体制を整えております。
しびれが出たら
お早めに受診ください
日常生活でしびれや痛みがあると、仕事や家事などに集中できず、不便を感じる方も少なくありません。
「しびれが長く続いている」あるいは「治ってもまたしびれる」といった場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
特に、急に発生した手足のしびれは、脳に原因がある可能性もあるため、早急に原因を突き止めることが重要です。
当院では、脳神経外科医が、しびれの原因が脳にあるかどうかを専門的に診察します。
しびれでお悩みの患者さまは、放置せずに早めの受診をおすすめします。