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呂律が回らない

呂律が回らない、
しゃべりにくいのは
脳梗塞のサイン?

呂律が回らない、しゃべりにくいのは脳梗塞のサイン?「急に言葉がうまく話せなくなった」あるいは「家族から呂律が回っていないと指摘された」。このような経験はございませんか。
実はこれらは、脳梗塞の重要な警告サインである可能性があります。
脳梗塞は、発症から治療開始までの時間によって、患者さまの生死や後遺症の程度が左右される病気です。
特に働き盛りの患者さまは「自分には関係ない」と思われがちですが、近年は若い世代での発症も増加傾向にあります。
呂律が回らなくなる症状と脳梗塞の関係についてお伝えします。

呂律が回らない場合の症状

呂律が回らない場合の症状「呂律が回らない」とは、舌の動きがうまくコントロールできず、言葉がもつれたり、思うように話せなくなったりする状態を指します。
これまで普通に会話ができていた方が、突然このような症状を呈した場合は、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患を発症している可能性があります。
また、呂律が回らない症状に加えて、以下のような症状を伴うこともあります。
これらの症状が見られる場合は、一刻も早い受診が必要です。

  • 顔や舌が曲がっている
  • 会話が成立しない
  • 言っている単語がおかしい

呂律が回らない原因

中高年以降で、特定健診の対象となる年代の方が急にろれつが回らなくなり、片側の手足にしびれや力の入りにくさ、物を落とす、まっすぐ歩けないといった症状を伴う場合、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患の可能性が高くなります。
また、一時的に話しづらくなってすぐに回復するような場合も、単なる疲労やストレスが原因のこともありますが、脳梗塞の前触れである「一過性脳虚血発作(TIA)」であるケースもあり注意が必要です。
そのほか、脳腫瘍をはじめ、小脳炎、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、重症筋無力症などの神経疾患が原因となることもあります。
いずれにしても、ろれつが回らない症状が見られた場合には、脳神経外科や内科を早めに受診し、原因を明確にすることが大切です。

考えられる脳疾患とその他疾患

呂律が回らない場合の脳疾患やその他の疾患について紹介します。

脳卒中

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが該当し、特に脳梗塞や脳出血によって脳の言語領域が障害されることで呂律が回らなくなります。
これまで問題がなかったにもかかわらず、突然会話が不自由になったり、言葉が思うように出なくなったりした場合は、脳卒中の可能性もあるため、早めに脳神経外科を受診してください。

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脳腫瘍

頭蓋骨内に生じた腫瘍を総称して「脳腫瘍」と呼びます。
脳腫瘍が大きくなり脳を圧迫すると、圧迫部位に応じた様々な症状が引き起こされます。
脳腫瘍による症状は多岐にわたりますが、脳の言語領域を障害することで呂律が回らなくなることもあります。
脳腫瘍は良性であることも多く、手術療法などの治療によって症状の改善が見込める場合も多いため、早めの受診と適切な経過観察が重要です。

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神経変性疾患

神経変性疾患は、脳や脊髄の神経細胞が何らかの原因で徐々に失われ、物忘れが増えたり(認知症)、手足がうまく動かせなくなったり(運動障害)する病気です。
よく知られている疾患として、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ポリグルタミン病(ハンチントン病、脊髄小脳失調症)などがあります。
特にパーキンソン病は、加齢に伴い罹患リスクが高まる患者数の多い疾患です。
脳から分泌される神経伝達物質であるドーパミンを生成する脳細胞の減少により、運動機能が低下する疾患です。
脳からの指令が筋肉に伝わらなくなるため、めまい、安静時の手足の震え、ふらつきなどの様々な症状が現れます。
発声に使う筋肉の動きが障害されることで、呂律が回らなくなることもあります。

精神的ストレス

過労や過剰なストレスによって自律神経が乱れると、うまく話せなくなることもあります。

筋萎縮性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症は、舌、のど、手足、そして呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せ、力がなくなっていく病気です。
筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かす運動神経細胞が障害を受け、筋肉に指令が伝わらなくなることで筋肉が萎縮してしまいます。
原因はまだ十分に解明されていませんが、家族性ALSでは遺伝子変異が発見されています。
ただし、家族性ALSはALS全体の約10%であり、多くの場合、遺伝性はないとされています。
手指の使いにくさや肘から先の筋肉が痩せて力が弱くなることで発症することが多いですが、話にくさや飲み込みにくさ、足の筋肉が痩せて歩きにくくなるといった症状から始まることもあります。
いずれの症状から始まった場合でも、やがては全身の筋肉や呼吸筋に力が入らなくなります。
根本的な治療法はなく、進行を遅らせる薬としてエダラボンやリルゾールが使用されています。

多発性硬化症

多発性硬化症は、中枢神経(脳と脊髄)の脱髄疾患の一つです。
神経線維を覆う髄鞘というカバーが炎症によって壊れることを脱髄と呼びます。
この脱髄が中枢神経の様々な場所に斑状に起こり、神経症状の再発を繰り返すのが特徴です。
神経症状は脱髄部位によって異なり、手足に力が入らなくなったり、複視が生じたり、あるいは話しにくくなったりします。
明確な原因は不明ですが、自己免疫説が有力視されており、遺伝的因子に加えて、ウイルス感染、ビタミンD、日照時間、喫煙などの環境因子が加わることで発症すると言われています。
MRIで脱髄病変を確認したり、髄液検査で炎症反応をみたりすることで診断します。
急性期の治療にはステロイドが用いられ、症状の改善が見られない場合には血漿浄化療法を行うこともあります。
再発を繰り返すことが多い病気なので、再発予防の治療も重要となります。

脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症は、腫瘍、血管障害、炎症、栄養障害などの明らかな病変がないにもかかわらず、歩行時のふらつき、呂律が回らない、手の震えなどを症状とする神経疾患の総称です。
難病に指定されており、遺伝性のない孤発性と遺伝性のある群に分類されます。
上記の症状に加え、足の突っ張りや歩きにくさを特徴とする痙性対麻痺が見られます。
根本的な治療法はありませんが、運動失調と呼ばれる運動機能障害に対しては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)製剤やTRH誘導体が用いられています。
また、ロボットスーツを用いたリハビリテーションも保険適用となっています。

呂律が回らない、
しゃべりにくい場合は
何科に相談すべき?

呂律が回らない、しゃべりにくい場合は何科に相談すべき?呂律が急に回らなくなった場合や、しびれが認められる場合は、すぐに受診することが重要です。
そのため、脳神経外科や脳神経内科を受診してください。
それまで問題なかったにもかかわらず、急に喋りにくい、口や舌が回りにくいといった症状が出た場合は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害の可能性があります。
脳梗塞の場合、発症から4~5時間以内であれば、条件を満たせば行える治療もあります。
急な発症の場合はためらわず、すぐに脳神経外科や脳神経内科のある病院の救急外来を受診しましょう。
服用中の薬やこれまでの病歴などが重要な情報となるため、可能であれば、代わりに話してくれる方と一緒に受診されることをお勧めします。

呂律が回らない場合の検査

診察ではまず、発声や言葉の明瞭さ、声の強さ、話すスピードを観察します。
口、舌、喉、顔面の動きを確認し、舌の動きが鈍い・片側に偏る・唇がうまく動かないなどの異常を評価します。
また、「パ・タ・カ」といった音を繰り返し発音してもらい、発音のリズムや正確さを確認します。
必要に応じて、嚥下(飲み込み)機能も同時に評価し、誤嚥のリスクがないかを調べます。

また、頭部CTや頭部MRIを行い、脳出血や脳梗塞がないか確認が必要です。
万が一発見された場合は、緊急入院して早急に点滴治療などを開始します。
また、末梢神経がどの程度正常に機能しているかを測定する神経伝導速度検査では、神経の絞扼や末梢神経障害が疑われる場合に有用です。
頸動脈エコーでは、血管の状態や脳梗塞のリスク評価のために行われます。

呂律が回らない場合の治療方法

脳卒中の後遺症であれば、言語聴覚士による言語療法、すなわちリハビリテーションで改善を図るのが一般的です。
口腔がんの術後には、必要に応じて発音補助装置を作製し、その後言語聴覚士による舌や嚥下の訓練を行うこともあります。
脳卒中後遺症や術後の構音障害は、時間が経ってからリハビリテーションを行っても、発症前と同様に発音できるまで完治するのは難しいと言われています。
しかし、早期に継続して行うことで徐々に改善に近づけますので、根気強く続けることが大切です。

呂律がおかしい…と感じたら
当院へご相談ください

呂律がおかしい…と感じたら当院へご相談くださいろれつの異常は、緊張や一時的な疲労などによって起こることもありますが、くも膜下出血・脳梗塞・脳出血などの脳卒中が原因である可能性もあります。
これらの疾患は命に関わる危険性が高く、発症後の早期治療が予後を左右するため、放置せず速やかな受診が必要です。
当院では、脳神経外科の専門知識と豊富な臨床経験を持つ院長が、CT検査やMRI検査を用いて正確な診断を行います。
脳神経の障害によって起こる構音障害(発音のしにくさ)では、口や喉の動きを司る神経全体が影響を受けるため、飲み込みづらさ(嚥下障害)を伴うことが多くみられます。
原因として最も多いのは脳梗塞や脳出血などの脳血管障害ですが、脳梗塞の前兆である一過性脳虚血発作(TIA)によって一時的に症状が出る場合もあります。
このような症状が現れた場合は、できるだけ早く当院までご相談ください。

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