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脊椎外科

脊椎とは

脊椎とは一般的に背骨と呼ばれる脊椎は、上から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎が連結して構成されています。
脊椎の体を支える、神経を保護する、体を動かす働きをしています。

当院の脊椎外科について

脳神経外科が脊椎の治療を行うことは、あまり一般には知られていないかもしれません。
実は、「脳神経外科は脳のみを専門とする」という認識は日本特有のものであり、世界的には多くの脳神経外科医が脊椎の治療や手術に携わっています。
脳神経外科の本来の領域は神経に関する外科全般であり、脳だけでなく脊髄や中枢神経に関する治療も脳神経外科の領域だと当院は考えております。

脊椎(背骨)の病気は
脳神経外科と整形外科
どっちを受診するべき?

脊椎(背骨)の病気は脳神経外科と整形外科どっちを受診するべき?脊椎(背骨)の病気で受診する際、「整形外科と脳神経外科のどちらに行けばいいのか」と迷われる方も少なくありません。
多くの方がまず整形外科を受診されると思いますが、それは正しい判断です。整形外科医は骨や関節の専門家であり、背骨に関する診療経験も豊富です。

一方で、脳神経外科も背骨と密接な関係があります。背骨の中には「脊髄」という神経が通っており、脳神経外科医はこの神経の構造や働きを深く理解しています。そのため、脊髄の圧迫や神経症状を伴う背骨の病気では、脳神経外科が専門的な診断・治療を行うことができます。

ただし、脳神経外科医の中には脳疾患(脳卒中・脳腫瘍など)を主に扱い、背骨の治療を専門としていない医師も多くいます。背骨の診療も行っている脳神経外科医は全体の2〜3割程度といわれており、受診の際は担当医が脊椎疾患にも対応しているかを確認することが大切です。

ちなみに院長は脊椎外科学会に所属しており、脊椎領域も約3年以上専門病院で学んで来ていますので、当院での診断や治療の提示は可能です。

こんな症状は脊椎外科へ
ご相談を

このような症状がある場合は、当院にご相談ください。

こんな症状は脊椎外科へご相談を
  • 腰痛
  • 臀部から下肢にかけてのしびれ
  • 大腿部から下腿部にかけての痛み
  • 足底のしびれ
  • 歩行時の臀部から下肢にかけてのしびれ
  • 歩行困難(足が前に出にくい)
  • 頻尿、残尿感
  • 背部痛
  • 肋間神経痛
  • 下半身のしびれや運動障害
  • 頚部痛
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 肩甲骨内側の痛み
  • 上肢から手指にかけてのしびれ
  • 上肢から手指にかけての痛み
  • 細かい動作がしにくい(巧緻運動障害)
  • 物を落としやすい
  • つまずきやすい

脊椎外科で分かる病気

脊椎外科で診断・治療を行う代表的な病気についてご紹介します。
手術が必要な場合は速やかに連携病院へとご案内します。

頚椎

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、椎体間の椎間板の変性や破綻により、内容物が脊髄や神経根を圧迫する病気です。
ヘルニアの部位や大きさによって症状は異なりますが、上肢や手指のしびれ、運動障害が多く見られます。
大きなヘルニアの場合は、歩行障害を引き起こすこともあります。
症状が軽度であれば、頚部の安静、投薬治療、理学療法などの保存療法を行いますが、症状が強い場合は手術を検討します。
手術には前方到達法と後方到達法がありますが、近年ではヘルニアの部位や大きさによっては、後方到達法に限り内視鏡治療が行われることもあります。

頚椎症性脊髄症/神経根症

加齢により椎間板が変性すると、その周囲にある椎体も変形し、脊柱管が狭くなっていきます。
脊柱管の中央部分(脊髄)を圧迫すると、両手のしびれや細かい動作がしにくくなる「巧緻運動障害」、手足の動かしづらさ、歩行バランスの悪化などが現れます(頚椎症性脊髄症)。
一方で、脊柱管の外側や神経が通る椎間孔が圧迫されると、腕のしびれや痛み、筋力低下などの症状が生じます(頚椎症性神経根症)。

症状が進行して生活に支障をきたす場合や、脊髄への圧迫が強い場合には、手術治療を検討します。
手術には、神経の圧迫を取り除くことを目的とした「前方到達法」と「後方到達法」があり、圧迫している部位や範囲、頸椎のアライメント(配列)などを総合的に判断し、最適な方法を選択します。

頚椎後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症(OPLL)とは、脊椎椎体の後縁を上下に連結する後縦靭帯が骨化・増大することで、脊髄が通る脊柱管が狭まり、脊髄や神経根が圧迫され、知覚障害や運動障害などの神経障害を引き起こす病気です。
骨化する脊椎の部位によって、頚椎、胸椎、腰椎後縦靭帯骨化症と呼ばれますが、ここでは圧倒的に多い頚椎後縦靭帯骨化症について説明します。
国内の一般外来を受診する成人を対象とした頚椎側面単純X線写真の調査では、1.5%から5.1%(平均3%)の頻度で発見されています。
男女比は2対1で男性に多く、発症年齢はほとんどが40歳以上です。
明確な原因は不明ですが、家族内発症、性ホルモン異常、カルシウム・ビタミンD代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、椎間板脱出など、様々な要因が関連していると考えられています。
後縦靭帯骨化症は、黄色靭帯骨化症や前縦靭帯骨化症を合併しやすく、骨化部位は縦方向や横方向に拡大していきます。
骨化があってもすぐに症状が現れるわけではありませんが、症状が重度になると、日常生活に大きな支障をきたし、介助が必要になることもあります。
また、軽微な外力で四肢麻痺になる可能性があるため、その存在を知っておくことが重要です。

非骨傷性頚髄損傷

非骨傷性頚髄損傷とは、頚椎に骨折や脱臼がないにもかかわらず、頭部への衝撃などによって頚髄が損傷する状態です。もともと脊柱管狭窄症を持たれているご高齢の方に多い病態です。
手足のしびれや痛み、脱力、歩行障害などの症状が現れ、診断にはMRIが用いられます。
治療は頚部の安静保持とリハビリが中心ですが、重度の場合は手術を検討します。

胸椎

胸椎黄色靱帯骨化症

胸椎黄色靭帯骨化症は、脊柱管内の靭帯が骨化する病気です。
骨化が小さく症状がない場合は経過観察で構いませんが、脊髄の圧迫が強く症状を呈する場合には外科治療を検討します。
両下肢の運動感覚障害、痙性歩行、膀胱直腸障害などが現れる可能性があります。

腰椎

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、椎間板が加齢や負担の蓄積によって変性・破綻し、内部の髄核が外に飛び出すことで発症します。突出した椎間板が馬尾神経や神経根を圧迫すると、下肢の痛みやしびれ、筋力低下、感覚障害などの症状が現れます。
まずは投薬治療や神経ブロックなどの保存的治療を行い、症状の改善を目指しますが、十分な効果が得られない場合には手術を検討します。
手術は、患者さまの年齢・体格・ヘルニアの部位や大きさなどを総合的に考慮し、最も適した方法を選択します。具体的には、内視鏡または顕微鏡を用いた低侵襲のヘルニア摘出術を行い、神経の圧迫を取り除きます。

腰部脊柱管狭窄症

腰椎レベルでの椎間板や椎体の変性、靭帯の肥厚などが原因で脊柱管が狭窄し、硬膜が圧迫される疾患です。
馬尾神経が圧迫されると、患者さまに典型的な間欠性跛行(一定時間の立位や歩行で下肢のしびれや脱力が生じ、休憩で症状が改善する)が現れます。
また、神経根が圧迫されると、その神経の支配領域に下肢の痛み、しびれ、筋力低下が出現します。
初期段階では投薬や理学療法で症状が改善することもありますが、症状が進行した場合は手術が必要です。

腰椎椎間孔狭窄症

加齢などが原因で神経が通る椎間孔が狭くなり、神経が圧迫されることで生じる疾患が腰椎椎間孔狭窄です。
患者さまには腰の「間欠性跛行」や下肢の痛み・しびれが特徴として現れます。
症状が重い場合には、内服薬や神経ブロック、または手術による治療が行われます。

 

Far out 症候群

L5/S1(第5腰椎と第1仙椎)椎間板の外側に生じる骨棘が第5腰神経を圧迫し、腰部椎間孔狭窄症を引き起こすのが「FAR OUT症候群」です。
患者さまには、腰から下肢にかけての痛みやしびれ(下肢痛)が主な症状として現れ、間欠性跛行を呈する場合もあります。

腰椎すべり症

上下の椎体がずれてしまう疾患が、すべり症です。
加齢による椎間関節や椎間板の変性で生じる「変性すべり症」と、成長期の椎弓骨折(分離)に加齢性の変化が加わることで生じる「分離すべり症」があります。
椎体のずれによって硬膜管や神経根が圧迫され、患者さまに狭窄症状が現れます。
すべりが軽度であれば除圧術を検討しますが、重度の場合にはインプラントを用いた固定術が必要となります。

脊椎外科で行う検査

脊椎外科で行う検査

神経学的診察

神経障害の有無や程度を把握するために、神経学的診察を行います。
具体的には、筋力・感覚・反射の3つを中心に評価します。
手足の動きや力の入り方、感覚の鈍さ、腱反射の異常などを確認し、どの神経がどの部位で圧迫されているかを推定します。
また、歩行の様子や姿勢のバランスを観察し、脊髄の障害が進行していないかを判断します。
こうした診察により、MRIやCTなどの画像検査で確認すべき部位を特定し、治療方針の決定に役立てます。

MRI検査

MRIでは、脊髄、神経根、馬尾神経、椎間板などを鮮明に描出できます。
当院のシステムでは、横向きでの検査も可能なため、背骨が変形したご高齢の患者さまでも、負担を少なく検査を受けていただけます。

CT検査

CT検査は、ドーナツ状の装置の中に入り、360度あらゆる方向からX線をあてて体内を撮影する検査です。
従来のレントゲンは一方向からの撮影のみでしたが、CTは多方向から高速に撮影することで、より詳細な画像が得られるのが特長です。
一方で、角度を増やすほど放射線被ばくが増える可能性があります。
当院では、被ばく低減機能に優れたCT装置「Supria Optica」を導入し、画質と安全性の両立に努めています。

脊椎外科の流れ

1予約

当院は完全予約制ではありませんので、受付時間内であればご来院いただいた際に診察が可能です。
ただし、ご予約の方を優先してご案内しております。
待ち時間を短く、スムーズに受診していただくためにも、事前のご予約をおすすめいたします。
ご予約はお電話またはLINE予約から受け付けております。

2来院

受付にて健康保険証もしくはマイナンバーカードをご提示ください。
お持ちであれば、各種医療証やお薬手帳も併せてご提示ください。

3問診

当院を初めて受診される患者さまは、問診票のご記入をお願いいたします。
順番になりましたらお名前をお呼びしますので、受付でお待ちください。

4診察

医師が問診票と患者さまのお話をもとに診察を行います。

5検査

医師が必要と判断した検査を行います。
診断の結果、手術が必要な場合には提携病院をご紹介いたします。

脊椎外科で行う治療

脊椎外科で行う治療必要に応じてMRIやCT検査を行い、神経や脊椎の状態を正確に評価した上で、脊椎・脊髄の異常による首・肩・腰の痛みや手足のしびれ、歩行時の違和感などに対し、まずは投薬による保存的治療(内科的治療)を中心に行います。薬で炎症や痛みを抑え、神経の負担を軽減することで、症状の改善を図ります。
一方で、神経の圧迫が強い場合や、投薬治療で症状の改善が見られない場合には、連携している専門医療機関へご紹介いたします。
当院での診察結果をもとに、手術治療やリハビリを専門的に行う施設へスムーズに繋げる体制を整えております。
脊椎由来のしびれや痛みは、脳や末梢神経の疾患とも関係することがあります。
脳神経外科医の立場から、脳・脊髄・神経を総合的に評価したうえで、最適な治療方針をご提案いたします。